学生なら迷わず申請すべき 国民年金保険料の学生納付特例
2018/05/07
20歳以上の学生なら迷わず申請 学生納付特例制度
国民年金の学生納付特例制度は、20歳以上の学生で、本人の所得が一定額以下の場合に、国民年金保険料の納付が猶予(先送り)される制度です。
あなたが20歳以上の学生なら、迷わず学生納付特例制度の申請をお勧めします。
学生納付特例制度は、大学等に通学している学生なら、国民年金保険料の納付を先送りできるという制度です。
学生納付特例制度は、大学や専修学校等の学生であって、国民年金の第1号被保険者である本人の前年所得が一定以下の人に対し、在学期間中、保険料の納付を猶予する制度であり、申請に基づき適用されます(世帯主の所得は問いません)。10年間は追納が可能です。当該期間は、年金の受給資格期間には算入され、未納扱いとはなりませんが、追納がなされない限り老齢基礎年金額の計算には反映されません。当該期間中に障害となったり、死亡した場合には、障害基礎年金または遺族基礎年金が支給されます。
手続きは所定の申請用紙と必要書類を提出するだけなので、難しくありません。
申請すると、年金未納にならないだけではなく、万が一の際に年金をもらうことができるという大きなメリットがあります。
学生は国民年金を払わなくてもいいって事なの?
保険料を払う義務がありますが申請すれば納付を先送りできます
いいえ、日本国内に住むすべての人は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられています。
たとえ学生であっても、国民年金保険料を支払う義務があるのです。
しかし、学生については、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。
本人の所得が一定以下の学生なら、申請により在学中は国民年金保険料をはらう必要がなくなります。
払わなくてよくなる条件は?
対象になる学校に在学していることと、所得が一定の金額以下であることが、学生納付特例制度が適用されるための条件です。
この二つの条件を両方満たしていないと、申請が却下されます。
対象になる学校は?
大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学している(夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれます)ほとんどの学生は学生納付特例制度の対象となります。
対象になる所得は?
あなたの所得が以下の計算式で求める金額以下の場合には、国民年金保険料の納付が猶予されます。
学生納付特例制度の所得基準計算式
118万円+扶養家族等の数×38万円+社会保険料控除等
実際に計算してみよう
ひとり暮らしの学生の所得判定ライン
118万円(+社会保険料控除等の金額) = 最低118万円
あなたの年間所得が118万円以下の場合には、全額免除の対象です。
概算ですが、バイト代が月9万8千円以下なら、全額免除されると思っていいでしょう。
さらに、社会保険料(健康保険等)を支払っている場合には、その金額分基準額が増えるので、より認定されやすくなります。
免除申請ってどうすればいい?
免除申請はいつでもできる
免除の申請はいつでもできます。
国民年金の加入手続きと同時に行ってもいいでしょう。
過去にさかのぼって申請できる
2014年3月までは、さかのぼって学生特例納付の申請ができる期間は、申請時点の直前の4月まででしたが、2014年4月からは法律が改正され、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1ヵ月前までの期間)について、さかのぼって免除等を申請できるようになりました。
可能な限り早めに申請したほうがいいでしょう。
毎年申請が必要
学生特例納付制度は、他の免除制度と違い、4月から翌年3月を1サイクルとして審査されますので、毎年申請が必要です。
現在学生納付特例制度が適用されている場合には、毎年4月上旬に申請書類が送られて来ますので、4月中に申請しましょう。
在学している学校に変更がない場合は、送られてくる申請書を返送するだけで手続きはおわります。
申請は自治体の窓口で
新規の申請窓口は、住民票を登録している各区市町村の国民年金窓口になります。
年金事務所ではないので注意してください。
大学でも申請できる
学生納付特例事務法人の指定を受けている大学に通学している場合は、大学でも手続きができますので確認してみてください。
学生納付特例制度の申請をしよう
準備するもの
国民年金手帳と学生であることを確認できる書類(在学証明書または学生証)必ず必要です。
国民年金に加入していない場合には、まず国民年金に加入して、年金手帳を受け取って下さい。
学生納付特例の申請書は各市町村の年金窓口に用意されています。
郵送でも申請できる
郵送でも申請できます。
申請書類は日本年金機構のホームページで入手できます。
郵送の場合の送付先は住民票のある各市町村の窓口です。
学生納付特例制度は、毎年申請が必要ですが、現在学生納付特例制度が適用されている場合には、送られてくる申請書を返送するだけで申請ができます。
申請する上での注意点
学生納付特例は、年間の所得が審査の基準になりますから、所得が正確に申告できていないと正しく審査されません。
複数のアルバイトを掛け持ちしている場合などには、間違った源泉徴収や年末調整が行われている可能性がありますので、申請する前に確定申告を行っておくことをおすすめします。
まったく所得がない場合にも、「所得がないことの申告」を住民票のある各市町村に行っておくと確実です。
申請後の流れ
各市町村は、所得の情報を確認した後、日本年金機構に申請書を送ります。
日本年金機構では、内容を審査し、条件に一致する場合は免除が決定します。
結果については郵送で通知されてきます。
申請するメリット・デメリットは?
メリット
申請すると、学生の間は毎月の保険料を払う必要がなくなります。
それだけではなく、年金をもらう時の判定では、「保険料を払っていない期間も保険料を払っていた」ものとして取り扱ってもらえます。
病気やけがで障害が残ったときには、遺族年金を受け取ることができますし、将来老齢年金を受取る時に必要な加入期間にも計算されます。
つまり、申請するだけで「タダで年金がもらえる」状態になるわけです。
デメリット
学生特例納付制度が適用された場合には、年金額の計算をする時に「年金を払っていない期間」として取り扱われるため、将来もらえる老齢年金が減額されます。
過去10年分の年金は就職してから、さかのぼって納める(追納)ことが出来ますので、学生納付特例を申請しておいて、将来余裕ができた時に保険料を納めることで、年金額を増やすことも出来ます。
参考 : 学生納付特例で払ってない年金は追納したほうがトクなの?
この制度の存在を知らずに、すでに払ってしまっている保険料がある場合は、学生特例納付が適用されても、原則としてさかのぼって返金されることはありません。
申請手続きのタイミングによっては、学生納付特例を申請していても、通常の納付書が届く場合がありますが、学生特例納付を申請中や、申請するつもりなら、通常の納付書で年金保険料を払ってはいけません。
面倒だから手続きしなくても大丈夫?
あなたが基準に当てはまっているなら、迷わず手続きをしておきましょう。
免除と未納は保険料を払わないことには変わりありませんが意味合いが全く違います。
督促を無視し続けると支払い意思がないものとみなされ、知らないうちに大変なことになる場合があります。